『ビジネスの未来』
先日投稿した『人新世の「資本論」』が気になった方は、きっとこの本も好きだと思います。
ビジネスはその歴史的使命をすでに終えているのではないか?
答えはイエス。ビジネスはその歴史的使命を終えつつある。
現在の状況は、低成長、停滞、衰退と表現されていますが、それは物質的貧困が社会からなくなった、ということであり、
この「成長が止まる状況」を「文明化の完成=ゴール」として設定すれば、日本は世界でもっとも早く、この状況に行き着いた国だと考えることができないでしょうか。
という、「なるほど、たしかに」と思えるようなところから始まります。
1.私たちの社会は、明るく開けた「高原社会」へと軟着陸しつつある
2.高原社会での課題は「エコノミーにヒューマニティーを回復させる」こと
3.実現のカギとなるのが「人間性に根ざした衝動」に基づいた労働と消費
4.実現のためには教育・福祉・税制等の社会基盤のアップデートが求められる
という内容。
詳細は本を読んでいただくとして、
「便利で快適な世界」を「生きるに値する世界」へと変えていく
高原社会では、知識・技能・創造性を存分に発揮できる活動そのものが、一種の商品のように労働市場で取引される社会となるでしょう。「楽しい仕事」が一種の商品となって「買われる」のです
など、今までのビジネスのあり方でずっと割を食っていた氷河期世代の私にとっては、今までと違う未来を予感させてくれて、刺さるところがすごく多い!
自分に余裕がなかったら誰かのために何かをするなんてことはできないし、失敗したら終わりなんて状況じゃ新しいことにチャレンジすることもできないから、ユニバーサル・ベーシック・インカムの導入が必要、というのも納得。
また、以前美容鍼灸サロンを開いていたときに思っていた、「高い広告費を払ってたいして効果のない広告を打ち、その費用を回収するためにお客様に高いサービスを販売するって、いったい何の意味があるのか…?」というおおっぴらに言ってはいけない疑問についても、「自分自身が、解決しようとしている問題を引き起こすシステムの一部」とピシャリと書かれていて、もうおっしゃるとおり…
まさに、もう止めていい経済成長を、無理やりもっと成長させようとする不要な仕事ですよね。(と思ってお店はやめたのですが。)
そして、ユニバーサル・ベーシック・インカムの話題のあたりに書かれている、新約聖書の「朝から働いた人にも、仕事にあぶれて夕方からしか働かなかった人にも同じ賃金を支払う」という話。私も著者の山口さん同様、「さすがイエス、いいこと言うぜ」って思いました。
仕事にあぶれた(氷河期世代に生まれた)ことを自己責任で片付けられて、「お前はろくに働いてないから最低賃金な」って言われても困るんだけどー、っていう私の気持ちを、イエスは大昔に汲んでくれていましたよ(笑)
タイトルに「ビジネス」と入っていますが、会社勤めの人向けというわけではなく、万人にとってこれからどう生きていくかを考えさせられる本です。
あともう一点、先日紹介した『「風の時代」に自分を最適化する方法』に書かれていた未来像と、この本の未来の方向性がかなり近い、というのも面白いところ。
ビジネス書と占いの本という、まったく別のジャンルなのに。
そんなところからも「未来に期待できちゃうんじゃないの?」と、自分にできることを探したくなります。
楽観的すぎですかね?
「風の時代」に自分を最適化する方法 220年ぶりに変わる世界の星を読む / Yuji (ヒーラー) 【本】
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