『人新世の「資本論」』
私、「経済成長を続けながら温暖化対策ってできるの?」 と前からすごく疑問だったのですが、この本で答えがわかりました。
…できないそうです。
温暖化対策として、あなたは、何かしているだろうか。
レジ袋削減のために、エコバッグを買った?(中略) はっきり言おう。その善意だけなら無意味に終わる。それどころか、その善意は有害でさえある。 なぜだろうか。温暖化対策をしていると思い込むことで、真に必要とされているもっと大胆なアクションを起こさなくなって しまうからだ。
という、なかなか恐ろしい文章から始まります。
気候変動を止めるためには、
その際の変化の目安としてしばしばいわれるのは、生活の規模を1970年代後半のレベルにまで落とすことである。
ということで、この本で提起されている選択肢は「脱成長」。といっても、昔に戻れと言っているわけではありません。
脱成長の構想は大きく5点。
- 使用価値経済への転換
- 労働時間の短縮
- 画一的な分業の廃止
- 生産過程の民主化
- エッセンシャル・ワークの重視
たとえば、ひとつめの使用価値経済への転換というのは、ワクチンとEDの薬であればワクチンの方が役に立つ(「使用価値」が高い)けれど、EDの薬の方が儲かる(「価値」が高い)よね。それっておかしくない?本来、逆じゃないとダメじゃない?という話。
具体的に説明しようとすると、ほぼ 全部を転記することになってしまうので、
「どれも「納得!」 って思えるから、とにかく読んでみて!!」
としか言えないのがくやしい…
(↑バルセロナの話などは、特に公務員の人に読んでもらいたい。)
おわりに、で、
「3.5%」の人々が非暴力的な方法で、本気で立ち上がると、社会が大きく変わる
なんて書かれていて、読後に「 私にできることって何だろう?」とすごく考えさせられます。
食わず嫌いせず、環境問題について漠然とでも「このままじゃまずいよね」と思っている人はぜひ読んでみてください。