『はじめての利他学』
人とのつながりについて考えさせられるこのご時世に、読んでみたくなった本。
利他って「(自分を犠牲にして)他人に尽くす」というイメージがあったんですが、そんな単純なものではないみたいです。
日本における「利他」の本質とは、自分と他者が深くつながることなのです。
すごくかいつまんで言ってしまえば、利他とは「人を愛し、自分も愛すること」。
エーリッヒ・フロムの『愛するということ』の引用をもとに、
「愛は誰かから与えられたり、自然に湧き上がってくるものではないので、頭で知るだけでなく鍛錬していかなければならない」
と書かれていたのを読んでハッとしました。
たしかに、愛することって技術だ!
努力しないと向上しないって、そのとおり!
また、この本は利他を実践したさまざまな歴史上の人物についても触れられていますが、どの時代の人たちも共通して、
まずは行動(人を愛する)、その後に知る
と、経験を重んじているのが印象に残りました。
知識があるだけで行動しない人のことは、昔の偉人たちもよく思っていなかったみたいですね。
「知ることで満足しちゃダメだよ」というのは、読書好きな私にとって耳が痛いです。
第4章の「利他のための自己愛」に、
◎受け入れがたい自分にも居場所を作る
◎自分を深く信頼する
なども書かれているので、私と同じく「利他って人のためにするものでしょ」と思っていた人におすすめの本です。
利他のイメージがちょっと変わると思います。
NHK出版 学びのきほん はじめての利他学 (教養・文化シリーズ) [ 若松 英輔 ]
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