『ワーク・シフト』
『ライフシフト』の著者のリンダ・グラットンさんにより、ライフシフトよりも前の2012年に書かれた、働き方の未来についての本。
10年前の本だというのに、かなり現状に近いことが書かれていてびっくりします。消費からシェアへ変わるとか、リアルの付き合いが減って孤独を感じるとか、先進国にも貧困層が生まれるとか、みんなが自分のホームページを持つようになるとか(ホームページではないけれど、大多数の人が何かしらのSNSで発信してますよね)。
しかも、未来の仕事で必要な3種類の資本は、
1.知的資本
知識と知的思考力。
広く浅い知識を持つのではなく、いくつかの専門技能を連続的に習得していかなくてはならない。
さまざまな専門技能を次々と身につけることを意識して行動する必要がある。
2.人間関係資本
人的ネットワークの強さと幅広さ。
いろいろなタイプの興味深い人たちとつながり合うために、善良に、そして精力的に振る舞う必要がある。
3.情緒的資本
自分を見つめ直し、どのような職業生活を送りたいかを真剣に考え、ときには厳しい選択をするための能力。
所得と消費に重きを置くのではなく、情熱をいだける有意義な経験をしたいという想いに沿った働き方を選択する。
これも、最近、これからの働き方として言われていることと同じですよね。(というより、この本やライフシフトを参考にしたのかもしれませんが。)
ちなみに、上の項目で私がいつもゲンナリさせられるのが、専門技能の連続的な習得。
専門技能って、時間をかけて苦労して習得しても、今の時代はすぐに陳腐化しちゃうじゃないですか。早く効率的に身につけられればいいんですけど、そんな方法ってないし…と思っていたら、この本の中に「これは使えるかも」ということが書かれていました。
オンラインゲームをプレイしたことがある人なら、ギルド(←チームとかグループみたいなものです)の例が出てくるので特にわかりやすいのではないかと思いますが、
プレイヤーたちは「ギルド」をつくり、ほかのプレイヤーとゲームの中で行動を共にする。ギルドのそれぞれのメンバーが自分の専門分野の技能を磨き、やがてその道を究めるまでになる。さまざまな専門技能の持ち主がすぐそばにいるので、ギルドの一員は自分の専門分野に習熟した後、ほかの専門分野に移動したり脱皮したりしやすい。このゲームのギルドは、専門技能の連続的習得を促す場として機能しているのである。
たしかにその通りで、周りに他の職業の人がいっぱいいるから、その職業がどんなものなのか、その職業に就くためにどんな技術を身につければいいのかがわかりやすいんですよね。 教えてもらうこともできますし。
現実世界と同様、オンラインゲームの世界で高度な専門技能を身につけるためには、きわめて多くの時間が必要だ。少なくとも週1日は、丸1日ぶっ通しでゲームをプレイしないと足りない場合も多い。注目すべきなのは、ゲーム愛好家たちが遊びを通じて専門技能を磨いていることだ。「遊ぶ」ことは、ゲームに限らず、さまざまな分野で高度な専門技能を習得するカギなのかもしれない。
専門技能をいくつも習得するなんてできない、って思ってたけど、私やってたな、これ…
好きなことだったら、丸1日ぶっ通しでやっても平気ですもんね。
ということもあって、どういう専門技能が価値を持つのかを念頭に置きつつも、好きなことを仕事に選べ、と書かれています。
10年前の本なのに、今でもこんなに役に立つことにびっくり。
また、「これはまだ実現されていないんだよねー」みたいなことも書かれているので、実際の状況と照らし合わせながら読むのも面白かったりします。
何よりびっくりしたのは、リンダ・グラットンさんはネトゲユーザーだったんだろうか?と思ってしまうほどの的確な説明の部分ですけど(笑)
ワーク・シフト 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図〈2025〉 [ リンダ・グラットン ]
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