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人生はプロジェクトではなく“物語”『世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない』

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『世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない』

 

タイトルにフィンランド人とありますが、本の中の主語は「フィンランド人」ではなく「人間」で、哲学っぽい内容です。本のタイトルや表紙の雰囲気から「ヒュッゲ」などのほんわか系を想像していると、かなりびっくりさせられます。

 

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著者は、フィンランド出身の「人生の意味」の問題を専門とする、哲学者、心理学研究者だそうで、そこからこのタイトルがつけられたのかな、と思います。

 

第1部 人間はなぜ人生に意味を求めるのか

第2部 人生の意味とはーー新時代の視点

第3部 より意味深い人生のために

 

ヒュッゲだと思って読み始めてしまうと読了までが苦行になりますが(笑)、最初から哲学とわかっていればなかなか興味深い内容です。

 

自分の本質的な価値を高め、心理的欲求を満たすための行動を取ることが、人生を意味あるものにする秘訣と言えるだろう。

 

ここで言う心理的欲求とは、食べ物や水を確保することのような直接生存に結びつくことではなく、自己を表現すること、成長すること、能力を生かすこと、他者とのつながりを感じること、などのこと。

 

人間の基礎的な心理的欲求に合う目標を立てた人たちは、目標に近づいたことで総じて幸福度が増したと感じていた。ところが、基礎的な心理的欲求と関係ない目標(富や名声や外見)を立てた人たちを調べると、目標に近づくことが必ずしも幸福度の向上に結びついておらず、不安などマイナスの感情が増した人も多かった。

 

一般的に目標を立てることはいいことと思われていますが、目標の内容によってはそうでもない、というのがわかります。

しかも、私たちが立てる目標って、心理的欲求と関係ない目標ばかりだったりしませんか? そりゃあ幸せを感じられない人が多いわけですよね。

 

そして、苦行(笑)も終わりに差しかかったころに出てくる「プロジェクトではなく物語のような人生を」という節は、この本で一番好きな箇所。

 

人生をプロジェクトとみなすと、人生の価値は、プロジェクトが成功するか否かで決まってしまう。また、仮に成功するにしても、結果が出るのはほとんどの場合、遠い将来である。それまでの間は、本当に目標に到達できるかどうかもわからないまま、ひたすら退屈で苦しい努力をするしかない。(中略)

最終的な結果にばかり目を向けていると、日常の小さな輝きを見落としてしまう。本当はそれこそが人生を生きる意味のあるものにしてくれるのに。

 

たしかに世の中には、転職、昇進、婚活、資格試験とかダイエットとかSNSのいいね数とか、成功できたか・達成できたか、で判断してしまうものが多すぎますよね。 幸せになるために立てた目標で、かえって苦しくなるなんて辛すぎる…

 

人生はプロジェクトではなく、“物語”と見なすべきだ。物語は、その人が目撃、遭遇、体験したこと、その人が表現したことでできている。その人だけのものだ。 人生でなにが起きたとしても、良いことも悪いことも、自分で選んだことも、外から与えられたことも、すべてが物語の一部となる。(中略)

あなたの人生の物語は今、この瞬間に展開している。あなたにできることは、ジョン・デューイも言っているように「この瞬間そのものを豊かにするべく努力すること」だけである。

 

人生を物語とみなす、って考え方、すごくいいですよね。

私も、自分の存在には何の意味があるんだろうか、と考えてしまうことがありますが、「人生はビジネス書じゃなくて小説」って思ったら、その小説をもっと彩るための景色や登場人物、出来事に目を向けてみるのもいいんじゃないかなと、心が軽くなりました。

 

世界一しあわせなフィンランド人は、幸福を追い求めない (ハーパーコリンズ・ノンフィクション ハーパーコリンズ・ノンフィクション NF64) [ フランク・マルテラ ]