『はじめてのエシカル』
私たちアラフォー世代は、実はあんまりよく知らないんじゃないかなと思う「エシカル」について、わかりやすくまとめられている本。
当たり前のように売られている手頃な価格のTシャツ。その価格で売ることができる理由は、実は他の国の誰かが、低賃金・長時間労働・過酷な労働環境の中で働いているから。
「うちの会社は安い給料で長時間働かせるブラック企業だ」なんて愚痴っている私たちが、「もっと安く、もっと安く」と他の誰かに負担を強いて、実はブラック企業と同じことをしていた。
ということに気づかされて、読み始めてすぐにショックを受ける人もいるかもしれません。
「エシカル」とは、もともと「倫理的な」「道徳的な」という意味です。
真面目でかたい言葉ですが、簡単に言い換えることができます。
それは「私たちの良心と結びついていて、人や社会、環境に配慮されている」ということ。
「エシカル消費」という言葉を最近よく耳にすると思いますが、人や地球環境に配慮している商品を買おう、ということですね。
環境問題もそうですが、こういう問題って大きすぎて自分の手には負えない、何をしても意味がないんじゃないかという気持ちになりますが、この本には私たちができることがたくさん書かれています。
私もはじめて知りましたが、
実は、スーパーなど一つの販売店に10人の客が同じ意見を表明すれば、それは「多数派の意見」として経営の中枢部に届くのだそうです。
なんて、「意外とハードル低いな!」という感じ。人や環境に配慮した商品を扱って、という希望って、案外簡単に届けられるんですね。
また、何かしようという気持ちを後押ししてくれる、こんな言葉も。
「倫理的であるとは、与えられた条件の中で可能な行為の中から最善なものを選択する態度」である
「環境に配慮されているものって安くないから、お金がない自分には買えない」と思っていても、こう言ってもらえると、自分のできることをやろうという気になりますよね。ゴミを減らす、食材をちゃんと使い切る、すぐに食べるものは消費期限が近いものを買う、みたいなことだったら、お金の有無に関わらずできますし。
そして、
何もしなければあなたは問題の一部になったことになる。でも、何かをすれば、あなたは問題を解決する動きの一部となる。人(の価値)は、何を言うかではなく、何をするかで決まるのだ
なんて言われたら、もうやるしかないですよね。
自分に見えていなかったことを気づかせてくれて、何かしようと思わせてくれる本。
学校でSDGsを教わらなかった私たち世代こそ、読む必要があるかもしれません。
はじめてのエシカル 人、自然、未来にやさしい暮らしかた [ 末吉里花 ]
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